特攻!MISTERY−SPOTS.
悪 寒
投稿者 虎様
これは、私の父の体験話です。
父がまだ、小学生位の時の事です。もう、
4、50年位前ということになります。当時、父はかなりの田舎に住んでいましたので、
当然、学校も家から、だいぶ離れたところにありました。
そして、毎日、家から学校まで、学校から家まで走って通っていました。
そうしなければ、何時間もかかる道のりです。しかも、
山一つ越えて行かなければならないので、学校の帰りは、
授業が終われば、すぐに帰らなければなりません。
さて、ある日、部活が遅くまであり、すっかり日が暮れそうになっています。
学校の校門を出たときは、もう、真っ暗です。しかし、暗くても、通い慣れた道です。
父は、いつものように走って帰る事にしました。友人たちとも別れ、
いつのまにかもう、一人で、山の中を走っていました。
父は、怖いもの知らずで友人の間では、人気物でしたが、
その日の夜の山は、いつもの明るいときの山とは、違って感じられます。
山の中腹辺りまで来て、めずらしく父は疲れてきたので、歩いて帰ろうと決めました。
さすがに足場が悪い事もあったのでしょう。その時です。
・・・ゾクッ!・・・
父は、突然、寒気を感じて、立ち止まりました。
特に、寒い日なわけでもありません。ただただ、不気味なほど静まり返っているだけです。
父は、その時、初めて、恐怖というものに襲われるのを感じました。
なにかしら、不安が込み上げてくる。「ここにいつまでもいては、まずい!」とまるで、
身体中が言っているようです。そして、父は、一目散に走って
無事に帰ることが出来た訳ですが・・・。
翌朝、父はいつものように、家をでて、いつもの山を越えて登校しました。
昨日の不安をかかえつつ・・・。山の中腹ヘ来て、おかしいことに気付きました。
なにか、人がたくさん集まっています。「いつもはこんなことないのに・・・」と
思いながら、父はその人ごみの中へ入っていきました。
人々はみな、上のほうを見上げてなにか言っているようです。
父も見上げました。「この場所、昨日の場所だ・・・」と思いつつ・・・。
すると、そこには・・・首を吊った男がダラーンと下をにらむようにして、絶命していました。
誰かが、言いました。
「昨日の夜らしいわね・・・ここで、首を吊ったのが・・・」